【2024年ガイドライン改正対応】ガイドライン遵守と戦略的広報を両立させる秘訣
こんにちは、ミラホスカスタマーリレーションチームです!
ウェブサイトでの情報発信の際にガイドラインを意識するあまり、表現が「守り」に入りすぎてしまい、その結果、患者さんや地域から選ばれるための「積極的な」の広報戦略が見いだせないとお悩みではありませんか?
この記事では、病院ウェブ制作の現場経験に基づき、広告表現の判断に迷う点の解説から、テクノロジーを活用した管理方法まで、一歩踏み込んだ解決策をご紹介します。
まずは基本の確認 - ガイドラインが禁じる5つの表現
具体的なテクニックに入る前に、まず大前提として医療広告ガイドラインで明確に禁止されている表現の基本をおさらいしておきましょう。ガイドラインでは、患者の誤解を招く可能性のある表現が禁止されています。以下のカテゴリで、具体的なNG例を確認しましょう。
虚偽広告
事実と異なる、または証明できない内容を掲載すること。
【NG例】
- 未承認の治療法を「国が認めた最新治療」と表現する。
- 医師の経歴や手術実績を水増しする。
比較優良広告
他院と比較して、自院が優れていると示すこと。
【NG例】
- 客観的データで証明できない「地域No.1」という表現。
- 事実であっても「県内唯一の専門医」と記載すること。(客観的証明が困難なため)
誇大広告
事実を不当に誇張したり、誤解を招く表現。
【NG例】
- 「絶対に再発しない」「100%安全な手術」といった断定表現。
- リスクや副作用を意図的に記載しない、または小さく記載する。
患者の体験談
個人の感想であり、治療効果を保証しないため禁止。
【NG例】
- 「患者様の声」として感謝の手紙やアンケートを掲載する。
- 有名人の治療実績を広告として利用する。
公序良俗に反する広告
品位を損ねたり、過度に不安を煽ったりする内容。
【NG例】
- 恐怖感を与えるような手術中の写真や映像。
- 「放置すると手遅れに」などと、過度に受診を急かす表現。
「グレーゾーン」の境界線を探る
広報ご担当者様が特に頭を悩ませるのが、手術実績の紹介(ビフォーアフター写真を含む)や患者様の声といった、視覚的・感情的に訴求力の高いコンテンツの扱いです。ここでは、その境界線を具体的に探っていきます。
1.治療実績の紹介(ビフォーアフター写真)
写真は強力ですが、ルールは厳格です。「限定解除」の4要件を必ず写真の側に記載する必要があります。
制作現場での落とし穴(よくあるNG例)
- 説明文がリンク先にあり、写真の側にない。
- 複数の写真の説明を、ページ下部にまとめている。
- 治療後の写真だけ照明を明るくするなど、撮影条件を変えている。
信頼を高める必須の4要件
- 治療内容:「腹腔鏡下鼠径ヘルニア根治手術(TAPP法)」など、具体的・正確に。
- 費用:「150,000円~200,000円」のように範囲を明確に。「〇〇円~」はNG。
- 期間・回数:「入院期間:3泊4日、術後検診2回」など、標準スケジュールを具体的に。
- リスク・副作用:出血、感染、慢性的な痛みなど、考えられる不利益な情報を正直に記載することが、逆に信頼に繋がります。
2.患者の体験談
医療機関が管理するウェブサイトやSNSで、患者の体験談を掲載することは全面的に禁止されています。これは、個人の感想は普遍的な結果を保証するものではなく、他の患者に深刻な誤認を与える危険性が高いためです。Googleマップなどの口コミを自院のサイトに転載する行為も、もちろん違反です。
では、マーケティングで重要なポイントの一つである「社会的証明(ソーシャルプルーフ)」を、どうやって示せばよいのでしょうか。
体験談に代わる「信頼の証」を積み重ねる(実践的OKライン)
- 専門性を可視化する: 医師の詳細な経歴、専門医資格、論文実績、治療哲学などを具体的に示す。
- 透明性を高める: 治療のメリットだけでなく、デメリットや他の治療法との比較も公平に詳しく説明する。
- 外部口コミと誠実に向き合う: 「良い口コミを書いて」と依頼するのはNG。しかし、外部サイトの口コミ(特にネガティブなもの)に真摯に対応する姿勢は、多くの人の信頼を得ます。
2024年改正対応!
先進医療・自由診療の広告は「義務」を「チャンス」に変える
先進医療や自由診療の広告は、「限定解除」を適用する主戦場です。そして、2024年のガイドライン改正により、特に未承認の医薬品や医療機器を用いた治療に関する情報提供義務が大幅に強化されました。
これは一見、新たな規制強化に見えますが、戦略的に捉えれば「他院との差別化を図り、患者の信頼を取る絶好の機会」と言えます。
必ず記載すべき5つの新義務
未承認医薬品等を用いた自由診療をウェブサイトに掲載する場合、従来のリスクや費用に加え、以下の5つの情報を明確に記載することが新たに義務付けられました。
- 未承認であることの明示: 日本の薬機法で承認されていないことを明確に記載します。
- 入手経路の明示:「医師等が個人輸入により入手した」など、具体的な入手経路を記載します。
- 国内承認薬等の有無:同じ効果を持つ国内承認薬があるかどうかを記載します。
- 諸外国での安全性情報:他国での承認状況や、報告されている副作用などを記載します。
- 救済制度の対象外であること:健康被害が起きても、公的な副作用被害救済制度の対象にならないことを明記します。
デジタル時代の病院広報戦略
SNSやネット広告も規制対象です。媒体ごとに役割を明確に分ける「ハブ&スポーク」モデルが有効です。
ハブ(自院ウェブサイト)
法律で求められる全情報(費用、リスク等)を網羅した「コンプライアンスの砦」。
スポーク(SNS、広告など)
役割は「ウェブサイトへの誘導」に徹する。治療効果やビフォーアフターは掲載不可。

発信できる安全なコンテンツ例
- 一般的な健康に関する情報提供
- 休診日や診療時間の案内
- 院内イベント(市民公開講座など)の告知
- メディア掲載実績の報告
絶対にやってはいけないNG例
- 「〇〇キャンペーン実施中!」といった費用の強調
- 患者の体験談のリポストや引用
- 「詳細はウェブサイトへ」とだけ書き、ビフォーアフター写真を投稿する
AI活用で広告チェックを効率化する3ステップ
ChatGPTのような生成AIは、医療広告のチェック業務を劇的に効率化する可能性を秘めています。しかし、AIは万能ではありません。AIを「優秀なアシスタント」として使いこなすためには、適切な指示と人間の専門的な判断が不可欠です。ここでは、明日から使える具体的な3つの活用ステップをご紹介します。
ステップ1:リスクの一次スクリーニング
AIに原稿を読ませ、抵触しそうな箇所を網羅的に洗い出させる。
【AI指示文例】
あなたは医療広告の専門家です。以下の原稿を日本の医療広告ガイドラインに基づいてレビューし、問題となる可能性のある箇所をすべて指摘してください。
ステップ2:「限定解除」要件の確認
ビフォーアフター写真の説明文などで、必須項目の記載漏れがないかチェックさせる。
【AI指示文例】
以下のテキストは、治療のビフォーアフター写真の解説文です。医療広告ガイドラインの「限定解除の4要件(治療内容、費用、期間・回数、リスク・副作用)」がすべて満たされているか確認してください。
ステップ3:リスク表現を安全な表現へリライト
AIは、リスクのある表現を、ガイドラインに準拠した安全なものに書き換える作業も得意です。人間がゼロから考えるよりも、AIが出した複数の案を基に検討する方が、はるかに効率的です。
【AI指示文汎用例】文章全体のリスクをチェック&リライト
あなたは医療広告の専門家です。以下の文章について、医療広告ガイドラインで禁止されている5つの表現(虚偽広告、比較優良広告、誇大広告、患者の体験談、公序良俗に反する表現)に抵触する可能性がないか厳しくチェックしてください。
問題点が見つかった場合は、その理由を説明し、読者に誤解を与えず、かつ病院の信頼性を伝えられるような代替表現案を複数提案してください。
(ここにチェックしたい広告原稿を貼り付け)
【AI指示文具体例|「比較優良広告」のケース】特定のNG表現を言い換える
「地域No.1の実績」という表現は、比較優良広告にあたる可能性があります。この表現を使わずに、当院の実績や信頼性を客観的な事実に基づいて伝えられる代替表現案を5つ提案してください。
【重要】AI活用の注意点
AIの回答は、あくまで参考情報です。AIは時に誤った情報を生成することもありますし、文脈の細かなニュアンスを完全に理解できるわけではありません。AIによるチェック後は、必ず広報ご担当者様や専門家の目で最終確認を行うことが、確実なコンプライアンス体制の構築には不可欠です。
ガイドラインの解釈を「丸投げ」しない、
当社の徹底したコミットメント
医療広告ガイドラインへの対応が複雑なのは、表現の解釈に「グレーゾーン」が多く存在するからです。その判断を貴院に「丸投げ」することが、広報担当者様の大きな負担になっていることかと思います。
私たちミラホスは、チェックリストの提供に留まりません。
- リニューアル時の「徹底チェック」とリスク排除
ウェブサイトリニューアルの際には、すべての表現、画像、データ引用が医療広告ガイドラインに抵触していないかを、専門家が責任を持って徹底的にチェックします。これにより、公開時点でのコンプライアンスリスクを排除できるようにサポートさせていただきます。 - 「グレーゾーン」は厚労省へ直接確認
さらに、掲載を検討されている表現やコンテンツについて、判断に迷う「グレーゾーン」が生じた場合、私たちはプロの立場から吟味し、責任を持って厚生労働省の担当部署に個別に問い合わせを実施します。
「守り」を固め、「次の一手」へ。
次世代広報へのご提案
ここまで見てきたように、医療広告ガイドラインは非常に複雑で、その解釈には専門的な知識が求められます。そして、一度ウェブサイトを整備しても、法改正やコンテンツの追加・更新のたびに、新たなリスクが生まれる可能性があります。
ガイドラインを遵守することが、未来の患者との信頼関係を築くための最も重要な広報活動であることは間違いありません。しかし、複数の診療科、多数の医師が関わる病院の広報活動において、すべての表現を人の目で、継続的にチェックし続けることは、もはや現実的ではない時代に来ています。
AIの活用は、単なる「効率化」に留まりません。担当者様を煩雑なチェック作業から解放し、本来注力すべき「病院の価値をどう伝えるか」という、より創造的で戦略的な広報活動に時間を使っていただくための、積極的な投資になります!
ガイドラインという"守り"を固めながら、選ばれるための"積極的な"広報へ。
もし、貴院のウェブ戦略をもう一歩先へ進めたいとお考えでしたら、ぜひ一度ミラホスにご相談ください!

